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ここで紹介する塩田平寺社巡りは、電車・バス・徒歩で巡っています。
東京発上田停車の北陸新幹線朝一番の「はくたか」を利用するか、上田に前日入り、上田城などを見物、宿泊し翌朝の上田電鉄乗車が良いと思います。(因みに自分は後者)
事前に上田市の信州上田観光情報Webサイトから塩田平ウォーキングマップを印刷して持参するか、観光案内所で入手することをお奨めします。
また、上田バス(株)の信州の鎌倉シャトルバスのサイトで、バスの出発時刻を記録して置くことをお奨めします。
スマホ用ナビアプリがあると便利かも知れません。 自分はPanasonicの旅ナビを使用しました。
上田電鉄別所線下之郷駅から4分程で長福寺に着く。
塩田平寺社巡りで1番目に訪れた真言宗の寺院である。
境内の一角に白壁で囲まれた部分があり、中に建っているのが「信州夢殿」と呼ばれる観音堂である。
奈良法隆寺夢殿を1/2のスケールで再現した堂で、昭和17年(1942)に建立されたとある。
堂内に安置されている観音像は、「銅造菩薩像」と呼ばれ国重文に指定されている像だ。 しかし、盗難に遭ったとの話を聞いたことがあり、現在はどうなっているのだろう。
信州夢殿の門 後ろの建物が本堂
理智山 薬師院 長福寺 救世観音菩薩 真言宗智山派 塩田平札所めぐり 第1番
長野県上田市下之郷541
0268-38-3029納経所若しくは庫裏 有り 無料 救世観音拝観 9:00〜16:00 300円 信州夢殿 長福寺
次は 生島足島神社へ で参道まで約2分
長福寺の隣にあるのが生島足島神社。
社殿は池(神池)に囲まれた島(神島と称している)の中に建ち、本殿の内殿には床板が無く、大地そのものが御神体とされている。
神楽殿を挟んで社殿と対向した場所に摂社の諏訪神社が鎮座している。御本社を上宮、諏訪神社を下宮、または御本社の北側に当たるので北宮とも称している。
諏訪神社前の大欅は樹齢800年、 夫婦欅と呼ばれる夫婦円満の御神木だそうだ。
諏訪神社の本殿と門は、長野県の県宝に指定されている。
同様に、県宝に指定されている歌舞伎舞台には、舞台構造を見学できるだけではなく、武田信玄の古文書などが常設展示されおり、無料で拝観できる。
立派な鳥居と神橋
参道入口に立派な鳥居が立ち、生島足島神社と書かれた扁額には屋根が設けてある。
神橋も唐破風屋根を付け、神橋としては豪華なイメージを持っている。
参道入口 神橋
摂末社
摂社諏訪神社は御祭神に建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)・八重事代主命(やえことしろぬしのみこと)・八坂刀売命(やさかとめのみこと)を祀り、社殿は慶長15年(1610)、上田藩主真田信之の寄進により再建されたという。
神楽殿は諏訪神社の拝殿として建立されたものだそうだ。
末社子安社は、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)・彦火瓊瓊杵尊(ひこほのににぎのみこと)を祀り、子宝・安産・子育・良縁にご利益があるそうだ。
末社十三社は、小さな社殿だが、瀬織津媛神(せおりつひめのかみ)など祓戸神(はえどのかみ)=お祓いお浄めの神々13柱を祀っている。
摂社 諏訪神社(下宮) |
子安社 |
十三社 |
他にも御本社の裏手、池の向こう側に荒魂社(あらみたましゃ)・八幡社・秋葉社が鎮座している。
生島足島神社 生島大神・足島大神
不詳 旧國幣中社・ 別表神社・ 式内:名神大 長野県上田市下之郷中池西701
0573-25-1481社務所 有り 無料 生島足島神社
次は 前山寺へ ・で参道入口まで約20分 ・で約35分 |
生島足島神社から一旦下之郷駅に戻り、別所温泉行の電車で塩田町まで行く。
塩田町駅で信州の鎌倉シャトルバスに乗車、前山寺で降りる。
しかし、シャトルバスは午前・午後各2便しか運行されてないので、時間が合わなければ塩田町駅から徒歩で約30分歩くことになる。
駅を背にして南に見える独鈷山を目標に南下する。案内看板があるので何とかなるでしょう。
歩くのはどうも...ということならば、下之郷駅と別所温泉駅にある無料レンタサイクルを利用する手はある。
案内はこちら 別所線無料レンタサイクル
バスを降りると、バス停脇に冠木門と呼ばれる形の門があり、右側に「真言宗 前山寺」と刻まれた石標が立っている。
そこから真直ぐに約100mほどの長い参道が続き、石段を上った先に薬医門がある。
薬医門の先には三重塔が見える。
前山寺は「ぜんさんじ」と読み、812年に弘法大師空海が、護摩修行の霊場として開創したという歴史ある寺院である。
参道先の薬医門 門からは三重塔が見える三重塔
薬医門の先、更に一段高い場所に建つ三重塔。
境内に入って目に付くのはやはりこの塔である。
手前の石段脇には大日如来のご真言を刻んだ石碑と宝篋印塔が立っている。
三間三重、屋根はこけら葺きで、高さは19.5m、室町時代後期(1467〜1572)の建立であるという。
大正11年(1922)国重文に指定されている。
案内板に記載があったが、二,三層に廻縁や勾欄がないのが特徴とされ、「未完成の完成の塔」などと呼ばれている。
廻縁は無いものの、廻縁を載せる胴貫が四方に突き出ているので、当初は廻縁を設ける予定だったが、最終的には付せずに完成させた。......などの説があるようだ。
特に違和感がある訳ではなく、そう言われれば勾欄がないなぁ。と知らなければ見過ごしてしまう。
更に、初層以外には扉が無く横板が張られているだけである。
廻縁が無いから出入口も不要ということなのだろうか.....。
初層・二層の扁額….釋迦如来,大日如来,彌陀如来,寳生如来の扁額が掲げられている。
金剛界五仏を表しているとの記事をよく目にするが、金剛界五仏には釋迦如来はなく不空成就如来で五仏を構成しているので、金剛界五仏でも胎蔵界五仏でもないのでは.....。と思う。
本堂
本堂は桁行10間、梁間8間の茅葺の寄棟造で、どっしりした堂宇である。
正面付された唐破風の向拝が極めて特徴的な形状をしているのが印象的である。
端面に「本」の焼文字があるが、その趣意は分からない。
まさか”ここは本堂ですよ” という「本」ではあるまい。
三重塔の後方に見える独鈷山には奥之院である岩屋堂があり、中に弘法大師が祀られているという。
弘法大師と岩屋はよく目にする。四国遍路をすると、 一夜建立の岩屋,御厨人窟,獅子の岩屋 等々弘法大師空海に縁のある岩屋が奥之院として存在する。
前山寺の奥之院もどんな所だろうか、恐らく簡単に参拝できそうもない感じがする。
訪れた4月は、ちょうど桜の見頃時期で、門前の枝垂桜が綺麗だった。
薬医門の外に見える枝垂桜 まるで城のような石垣と漆喰塀
獨股山 前山寺 金剛界大日如来 真言宗智山派 塩田平札所めぐり 8番
長野県上田市前山300
0268-38-2855朱印所(受付) 上田バス(信州の鎌倉シャトルバス) 前山寺有り 無料 9:00〜16:00 入山料:大人200円獨股山 前山寺
次は 龍光院へ で約15分 |
前山寺から中禅寺までは徒歩にて巡る。
前山寺参道を入口まで戻り左へ。
車の通行も少ないので、のんびりと塩田平の広々とした景観を楽しみながら歩けば、15分の距離もあっという間だ。
要所に龍光院・中禅寺への案内看板があるので、方向さえ間違わなければ到着出きると思う。
大きな目印として参道を越したところに「塩田の館」がある。観光案内もしているが、メインは食事処。
「里帰りそば」が人気メニューで、おやき・すいとんなども食べられる。
マイカーで巡るなら、塩田の館の角を左折すれば龍光院の駐車場へ行ける。
龍光院は塩田北条氏の菩提寺であり、弘安5年(1282)、臨済宗の寺として創建。後に曹洞宗に改宗、慶長6年(1601)龍光院と改め中興開山されたという。
本堂や門の屋根には、 北条鱗の紋が付されており、北条氏の菩提寺であったことが窺える。
黒門
前山寺から歩いて来ると、黒門と称される門の前にでる。
門前の大木の前に石標が立っている。
右側は「曹洞宗 龍光院」、左側には「山門禁葷酒」つまり、臭みのある野菜、生臭い魚や肉は修行の妨げになるから寺に持ち込むな....という意味の石標である。
門を抜けると、その先は人が一人通れる程の狭い石段の参道が延びている。
参道の右側には車道が沿って、駐車場まで続いている。
山門・本堂
参道を上りきると右手に山号である「寶珠山」と書かれた扁額が掛かる山門が建ち、その中は堂宇が建ち並んでいる。
車で来てもこの山門は通ることになる。
山門 本堂山門から石畳が真直ぐに延びた先に本堂がある。
大きな寄棟の屋根に安定感を感じる建物で、江戸中期に再建された建物らしい。
軒下の「龍光禅院」と金文字で書かれた扁額が目立っている。
須弥壇中央に三尊が安置されているが、本尊の釈迦如来か、遠くて判別できなかった。
選佛場・観音堂
本堂に向って左側には、本堂に近い場所に「選佛場」が建っている。
選佛場とは座禅の修行をする僧堂で、禅宗の寺院では重要な位置づけを持つ場所である。
選佛場の山門寄りの小高い上に観音堂が建ち、石段を上がってお参りする。
選佛場 観音堂
鐘楼・羅漢堂
本堂に向って右側は、奥に庫裏、こちらでは予約すれば精進料理の「山菜膳」を味わうことができる。
そして、山門方向に鐘楼、羅漢堂と続いている。
鐘楼 羅漢堂八角の羅漢堂には釈迦如来を中心に 迦諾迦伐蹉尊者など釈迦(釈尊)の弟子である尊者が十六羅漢を主体として祀られている。
名前が確認できたのは、
二番 迦諾迦伐蹉尊者, 三番 迦諾迦跋釐惰闍尊者
四番 蘇頻陀尊者,五番 諾距羅尊者,六番 跋陀羅尊者
七番 伽哩伽尊者,八番 伐闍羅弗多羅尊者
数ある弟子の中から羅漢として祀るのは、経典によって異なるらしい。
寶珠山 龍光院 釈迦如来 曹洞宗 塩田平札所めぐり 第9番
長野県上田市前山553
0268-38-2561庫裏 上田バス(信州の鎌倉シャトルバス) 龍光院有り 無料 8:00〜17:00 拝観料:志納
次は 中禅寺へ で約15分 |
龍光院の参道を左に出て道なりに歩く。
少し行くと、塩野池というため池がある。看板に田園空間博物館とある。
これは、農村地域を一つの「屋根のない博物館」として保全・活用しようという農水省の取組である。
塩野池の先にT字路があり、ここを左へ林に沿って行くと、いきなり視野が開け住宅地に出る。
更に少し行くと、中禅寺バス停のところに中禅寺薬師堂の行き先を示す看板が立っている。
ここから80mほどの奥に中禅寺の拝観受付がある。
独鈷山山麓の比較的高い場所にあり、緩やかな傾斜地に堂宇が配されている。
中禅寺の創建は天長年間(824〜834)。弘法大師空海が雨乞いの祈祷をするために草庵を結んだのが始まりといわれている。
本堂
先ずは本堂に参拝。
石段を上がると敷石が一直線に敷かれ、両側に六地蔵が相対して置かれている。
敷石の両側には、左側に1本、右側に数本の箒桜が満開の花を付けていた。
その突当りに桁行8間、大きな寄棟造の本堂が建っている。
一間ほどの入口に龍王山中禅寺と天然木に書かれた表札が掛かり、右側の柱には「塩田平四国霊場第十番」の札が掛けてある。
小さな廻縁には納札箱が置かれ、札所らしい雰囲気を感じさせられる。
訪れた時は、ちょうど箒桜が満開の時期で、桜が終わると花桃がに替わる。
この時期か紅葉の季節に訪れるのがお奨めである。
因みに、箒桜(ホウキザクラ)は竹箒を逆さに立てたような樹形をし、枝が広がらないのが特徴。
ヤマザクラ(山桜)とシナミザクラ(支那実桜)の雑種と推定されているという。
見慣れたソメイヨシノとは異なるので、美しさと珍しさを感じる桜である。
仁王門
本堂が建つ位置から山側に行くと三間一戸の簡素な八脚門(仁王門)がある。
左右に安置されている仁王像(金剛力士像)は、像高207cmで小振りではあるが、平安時代末期から鎌倉時代初期ころの作と推定され、現在県宝に指定されている。
仁王門 金剛力士像薬師堂
仁王門を抜けた先の一段高い場所に薬師堂がある。
信州最古の木造建築といわれる薬師堂、及び堂内に安置されている木造薬師如来坐像と附属の木造神将立像は国指定重文で、拝観する価値はある。
薬師堂は茅葺屋根に宝珠を載せた、三間四方の宝形造り。
平安時代末期から鎌倉時代に見られる建築様式であることから、建立の時代が推測されている。
堂内中央に須弥壇が設けられ、薬師如来坐像が安置されている。
桂材の寄木造で像高97.8cm、鎌倉時代初期の作と云われている。
この薬師如来は中部四十九薬師霊場第三番の札所本尊となっている。
薬師如来の右側に安置されている神将立像は、薬師如来眷属十二神将の内の1躰ではないかと云われている。
像高68.2cmの桧材寄木造で南北朝末頃の作と考えられている。
薬師如来と大きさがアンバランスなので、他から持ち込まれた尊像ではとのこと。
拝観を終え、門前にあるお休み処「ちょん休庵」で休憩。
おばちゃん達としばし歓談。地元の方から得られる情報って結構貴重なんです。
龍王山 延命院 中禅寺 延命地蔵菩薩 真言宗智山派 長野県上田市前山1721
0268-38-4538住職不在に付受付にて書置を貰う 上田バス(信州の鎌倉シャトルバス) 中禅寺有り 無料 9:00〜16:00
入山料:50円 特別拝観料:200円
次は 満願寺へ で約40〜50分 |
中禅寺から徒歩で約40〜50分ほどかかる。シャトルバスの時刻に合わせて中禅寺を出るのがベストだが....。
徒歩の場合、ウォーキングマップが頼りになる。
中禅寺を左に出て、最初の十字路(左手に独鈷山登山口の看板有り)を右折。畑やブドウ畑がある道をひたすら歩く。右手に火の見やぐらが見えてくれば間違ってない。
中原のバス停まで来ると、その先に古くて小さめな火の見やぐらが立つ十字路があるので、そこを左折し、また暫く歩くとT字路に出るので左折し道なりに進む。
「独鈷温泉 竜の湯」の看板を通過し、 右手に舌喰池を眺めながら行くと、住宅が建並ぶ明るい道が出てくるが、ここは意を決して木立が鬱蒼と茂る暗い森の方へ直進する。
俄かに視野が開け下りの道になる。するとその先に「満願寺入口」のバス停があり、少し行くと小川があるので橋を渡って左に行けば満願寺に着く。
本堂
石段を上がった先に本堂が建っている。
茅葺の屋根をトタン板で覆ったと思われる造りである。縁には簡素な高欄が付されているが、擬宝珠などは無く防護柵としているのかも知れない。
満願寺は五百年ほど前に前山寺の末寺として創建されたという。
中部四十九薬師霊場の番外札所で、本尊の薬師如来坐像には薬師如来を信仰する者を守護するとされる十二体の武神である十二神将が祀られていることでも知られている。
須弥壇手前には護摩壇も設けられ、護摩法要もよく行われているとのことだ。
本堂手前に「昇高学校跡」の標柱が立っている。
明治初期、辺りの集落の学童が学んだ場所だそうだ。
十王仏
本堂手前左手に小さなお堂があり、十王の石像が安置されている。
”荒削りな十王の石仏”と表現されているブログやホームページの記事を目にするが、よく見ると、やはり荒削りでどれがどの王か分かり難い。
十王で一番有名なのは閻魔王だが、果たしてどの石仏だろうか.....。
塩田平の寺社を巡る人々は、中禅寺から満願寺をパスし、別所温泉地区の常楽寺などへ行く人が多いと聞く。
決して交通至便ではないが、拝観する価値はある。
愛宕山 満願寺 薬師如来 真言宗智山派 中部四十九薬師霊場 番外
塩田平札所めぐり 第12番
長野県上田市山田1093
0268-39-4382
本堂脇に書置き有り 上田バス(信州の鎌倉シャトルバス) 満願寺入口有り 無料 境内自由
次は 常楽寺へ で約30分 |
満願寺入口のバス時刻との比較になるが、別所温泉までバスが利用できるならラッキーだ。
徒歩の場合、来た道を戻って最初の四つ角を火の見やぐらが見える方向へ左折する。暫く道なりに歩いて、サイロがあるところで県道82号に合流する。
82号は歩道のある側を歩いて「別所温泉」の交差点で左折する。
別所温泉駅前の二又を右へ分岐。少し行くと地蔵菩薩を祀る六角堂が二又にあるので、右の石畳の道を歩けば、そのまま常楽寺に着く。
常楽寺は天台宗別格本山という寺格を有する寺院で、北向観音の本坊になっている。
天長二年(825)の創建という古い歴史を持つ寺院である。
本堂
満開の桜が出迎える石段を上がると、間口10間、奥行き7間の茅葺寄棟造りに、唐破風の向拝を付したどっしりとした本堂が建っている。享保年間(1716〜36)に建立された建物で、平成15年に改修工事を施したという。
堂内は中央に外陣・内陣を配し、その両側に部屋を設けている。
内陣奥の須弥壇には宝冠を頂く本尊の妙観察智弥陀如来を安置している。
参詣者の多い鎌倉円覚寺の宝冠釈迦如来はよく見聞きするが、宝冠を乗せた阿弥陀如来は珍しい仏様だと云われている。
花などが描かれた格子天井も美しいので、忘れずに見ておきたい。
石造多宝塔
常楽寺境内奥に国指定重文の石造多宝塔があるので拝観する事に。
その前に、本堂前にある樹齢350年と言われる御船の松(みふねのまつ)を眺めていこう。
この日は植木職人が入り剪定をしていたので、松の葉が疎になっていたが、宝船を表しているそうだ。
多宝塔へ続く参道に坐した六地蔵が並んでいる。
よく見かける六地蔵は立った姿で、割とスマートだが、この坐像の六地蔵は肉付きもよく貫禄を感じる。
御船の松 六地蔵杉林の中に鉄柵で囲まれ、数体の石塔が立っている。
重文指定の多宝塔は、中央の安山岩で造られた二層屋根の塔で、高さ2m85cm。
石造の多宝塔で重文指定としては全国に2基しかなく、貴重な1基である。
両側の塔は多層塔と呼ばれるもので、右側の五重の多層塔は上田市の文化財してを受けた塔である。
また、この場所で北向観音が出現したと言われている。
金剛山 照明院 常楽寺 妙観察智弥陀如来 天台宗 中部四十九薬師霊場 第2番
長野県上田市別所温泉2347
0268-37-1234拝観受付 有り 無料 100円 常楽寺
次は 安楽寺へ で約8分 |
石畳の道を来た方向へ少し戻ると北向観音を示す案内板がある。
大まかに、常楽寺と北向観音の間を山側に入って行くイメージで捉えると位置関係が分かり易い。
そこを右折して少し歩くと、旅館 七草の湯の手前右手に黒門と呼ばれる安楽寺の入口に当たる門がある。
扁額に山号である崇福山と書かれているので間違わないと思う。
ここからが参道なんだろうと思う。
黒門を抜けると右手に蓮池が連なっている。あとは道標に従って道なりに進めばよい。
安楽寺の創建は天平年間(729〜749)とも天長年間(824〜834)とも言われるが、鎌倉時代以前の歴史的裏付けはない。
北条氏の庇護を得て栄えたとあるので、鎌倉時代には存在していたとされている。
安楽寺の見どころは、国宝の八角三重塔だが、先ずは本堂を参拝。
参道・本堂
蓮池に沿って進むと、右折するように参道が続き、山の中へと入って行く。
大木が繁った道を80mほど行くと、先は石段となっており、上がった所に山門が構えている。
手入れの行き届いた庭の奥に大きな本堂が建っている。
間口が10間はあろうかという立派な寄棟造りである。
茅葺屋根の上を更に銅版で葺いているので、一層屋根が大きく見える。
茅葺は葺き替えの手間が掛かるばかりでなく、良質の萱を入手するのが難しいので、最近はこの様に外側を銅版葺で覆ってしまうのを良く見かける。
安楽禅寺と書かれた大きな扁額が目立っている。
堂内を伺うと、須弥壇に祀られている本尊は釈迦如来で、脇侍に普賢菩薩と弥勒菩薩を配した、一般的な釈迦三尊像である。
鐘楼
山門を入った先に建つ鐘楼は明和6年(1769)建立のもので、袴腰付鐘楼である。
袴腰付鐘楼は格式の高い寺に限られると言われている。
和様、禅宗様の折衷様式といわれ、屋根は瓦葺の入母屋屋根で、上層に高欄を付した縁を巡らせた楼閣形式で、垂木や三手先の組物、二軒の扇垂木など意匠は素晴らしい。
組物を見るだけでも、その価値はあると思う。
八角三重塔
いよいよ、拝観料を納めて国宝の三重塔を拝観する。
三重塔は本堂裏の山にあり、幾重にも折返す石段を上がって行かなければ見ることができない。
鎌倉時代末期の建立で、禅宗様建築物ではわが国最古のものだそうだ。
一見四重塔に見えるが、初重は裳階という珍しい様式の三重塔で、下から登って行くと屋根裏が椎茸の裏側を見ているようだ。
禅宗様の手法を忠実に守った詰組は、柱間が狭い三重目でも用いられている。
裳階の正面のみ桟唐戸の入口があり、周囲は禅宗様の特徴である竪板壁で閉ざされている。
内部には大日如来像が安置されているという。
傳芳堂・経蔵
出入口に戻る途中、傳芳堂と経蔵を拝観した。
傳芳堂には安楽寺に係わる和尚2体が安置されている。
一つは安楽寺開山の樵谷惟仙和尚像で像高74.2cmの桧材寄木造。隣に安楽寺二世 幼牛恵仁和尚像、像高75.1cm、桧材寄木造で、共に国重文に指定されている。
前面がガラス張のため、こちら側を反射し写り込んでしまい、写真に収めることができなかった。
経蔵(写真右)は方3間の桟瓦葺宝形造で、周囲は白壁で土蔵造・塗りこめ造りと呼ばれる建物である。
正面中央に両引きの腰板縦連子戸と、その外側に両開きの漆喰扉を設けてある。
堂内中央部に八角輪蔵を置き一切経全巻を収納している。
崇福山 護国院 安楽寺 釈迦牟尼仏 曹洞宗 塩田平札所めぐり 第12番
長野県上田市別所温泉2361
0268-38-2062拝観受付 有り 無料 八角三重塔:300円
3〜10月 8:00〜17:00
11〜2月 8:00〜16:00崇福山 安楽寺
次は 北向観音へ で約5分 |
安楽寺参道を蓮池のところまで戻り、黒門をくぐって突当りを右へ。
そのまま道なりに進み、正面の北向観音と書かれた門をくぐり、石段を下りると土産店や飲食店が建ち並ぶ門前の商店街だ。
呼び込みに誘われず、ここを抜けたら再び石段があり、上りきると北向観音の境内に出る。
北向観音は別所温泉というか塩田平で一番メジャーな寺院である。
多くの参詣客、観光客が訪れるところで、門前の商店街も結構賑わっている。北向観音堂は、天長2年(825)慈覚大師円仁によって開創。1182年(寿永元年)木曽義仲の戦乱により焼失。このとき安楽寺の八角三重塔、常楽寺の石造多宝塔以外は焼失したという。
建長4年(1252)塩田陸奥守北條国時によって再建されたと伝えられる。
正徳3年(1713)にも炎上、享保6年(1721)に現在の建物に再建された。
その後修復を重ね、昭和36年(1961)、善光寺の本堂と同じ、T字型の棟の形が鐘を叩く撞木(しゅもく)に似ている「撞木造り」となった。 本堂が北に向いてるので、通称北向観音と呼ばれている。南向きの善光寺と向き合っているので裏善光寺とも呼ばれているとか。
愛染堂・愛染カツラ
誘惑や困難を打ち砕いてくれるという愛染明王を本尊として祀る小さな愛染堂。
鐘楼脇にあるカツラの巨木は樹齢1200年、樹高22m。
この愛染堂とカツラの木を結びつけて、第一回直木賞受賞作家の故川口松太郎氏が書いたのが「愛染かつら」だと言われているようだ。
温泉薬師瑠璃殿
多くの句碑や歌碑が立ち並ぶ背後に、一段と目を引く懸造りの建物がある。
桁行3間、梁間3間の瓦葺入母屋造で正面に1間の唐破風の向拝を付けている。
本尊に薬師如来を祀る、俗に薬師堂と呼ばれる堂宇だが、ここでは温泉薬師如来の正式名称温泉薬師瑠璃光如来に因んで「温泉薬師瑠璃殿」と称している。当初は「大師湯」の西隣に建っていたが、寛保2年(1741)の湯川氾濫の際、お堂が流され、文化6年(1809)ここに再建されたものだという。
周辺に石段や参道も見当たらないので、下から参拝するのか?
懸造りはたまに見かけるが、ここのは柱が細いように思える。
護摩堂・札所観音堂
護摩堂(不動堂) 札所観音堂 不動明王を祀る不動堂 秩父三十四観音を安置している
北向山 照明院 常楽寺 千手観世音菩薩 天台宗 中部四十九薬師霊場 第2番
坂東三十三観音霊場 番外
信濃三十三観音霊場 客番
塩田平札所めぐり 客番
長野県上田市別所温泉1656
0268-38-2023観音堂内 有り 有料 6:00〜17:00 拝観無料 北向観音・常楽寺
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