諸國放浪紀秩父三社巡り
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誰が決めたかは定かではないですが、秩父地方に鎮座する代表的な神社三社を「秩父三社」と呼んでいます。

東国三社のように「お伊勢参りの後の三社参り」と言われる訳でもなく、観光事業促進なんでしょう.....か。
秩父三十四ヶ所霊場巡礼と合わせて三社巡りをやってみました。
 
 
 
   
     

 秩父神社

秩父市街地の中心に鎮座する秩父神社は、秩父地方の総社で武蔵国四宮に加列しています。
毎年12月に開催される「秩父夜祭」は、国の重要無形民俗文化財に指定され、京都祇園祭,飛騨高山祭と共に日本三大曳山祭の一つとして有名です。

秩父神社の創建は古く、崇神天皇10年(573)の時、知知夫彦命が祖神をお祀りしたことに始まる、とされています。

鎌倉時代、落雷により社殿が焼失し、再建する際に妙見菩薩を合祀し、長きにわたり秩父妙見宮として隆盛を極めたそうです。
明治の神仏分離令により、妙見菩薩と習合していた天之御中主神を祭神とし、社名も「秩父神社」へ戻したとの事。

現在も授与所で頒布されている「妙見御姿神札」や「妙見守」「妙見さま掛軸」などに妙見信仰が遺されています。




左甚五郎の作もあるという、彫刻の施された権現造りの社殿は興味深いものがあります。

秩父神社
主祭神 : 八意思兼命 (やごころおもいかねのみこと)
  知知夫彦命 (ちちぶひこのみこと)
  天之御中主神 (あめのみなかぬしのかみ)
合祀  秩父宮雍仁親王 (ちちぶのみややすひとしんのう)
秩父神社御朱印創  建: 崇神天皇10年(573)
例大祭: 12月3日
社格等: 旧国幣小社、別表神社、
式内社(小)
鎮座地: 埼玉県秩父市番場町1-3
0494-22-0262
公式サイト: 秩父神社





拝殿   弊殿装飾
 
権現造の社殿に施された彫刻は、それぞれに意味があるので、説明書きと合わせて拝見するのがお奨めです。
本殿   本殿彫刻
権現造の社殿
 
本殿東側の左甚五郎作「つなぎの龍」

社殿の彫刻
お元気三猿北辰の梟つなぎの龍
子宝 子育ての虎 上段左から、本殿西側の「お元気三猿」、本殿北側の「北辰の梟」、本殿東側の左甚五郎作「つなぎの龍」

拝殿左手の左甚五郎作「子宝 子育ての虎」




境内社
本殿北側後方に全国一宮を中心とした75座の神々を祀る長い社の「天神地祇社」が建っています。
他にも社殿の周囲に小さな社が点在しています。
豊受大神宮日御碕宮諏訪神社禍津日社,天満天神宮東照宮
左から、豊受大神宮・日御碕宮・諏訪神社・禍津日社,天満天神宮・東照宮




 三峯神社

秩父三社の中では一番の難所、と言うか至って交通至便ではありません。
西武秩父から三峯口経由の急行バスが1日3〜5便。以前あったロープウェイも老朽化で廃止。
車で行っても、駒ヶ滝トンネルが不便、しかも駐車場がこんな場所で500円と高い。

創建は景行天皇41年(111)と言うから古い事は確かです。
三峯宮は中世以降修験道場となって、関東各地の武将の崇敬を受け、天文2年(1533)「大権現」の称号を賜り、聖護院派天台修験の関東総本山として隆盛しました。

江戸時代には、秩父山中に棲息する狼を神使と考え、「お犬様」として崇めるようになり、いわゆる御眷属信仰が広まっていきました。


また、修験者たちが神得を説いて回り、当社に参詣するための講(三峯講)が関東・東北を中心に組織されました。
明治の神仏分離によって寺院を廃して三峯大権現 観音院高雲寺は「三峯神社」に改称しました。

三峯神社
主祭神 : 伊弉諾尊 (いざなぎのみこと)
伊弉册尊 (いざなみのみこと)
三峯神社朱印創 建 : 景行天皇41年(111)
例大祭 : 4月8日
社格等 : 旧県社、別表神社
鎮座地 : 埼玉県秩父市三峰298-1
0494-55-0241
公式サイト : 秩父 三峯神社


三峯神社   拝殿向拝
  正規に参堂を来ると石段の上に極彩色豊かな拝殿が建っています。
駐車場から参道を歩くと、独特の形をした三ツ鳥居があります。
駐車場ゲートで許可をもらえば拝殿の近くへ駐車できるので、車で一気に参道を上ってきました。

三峯神社の見処の一つに拝殿があります。
寛政12年(1800)に建立し、昭和37年(1962)改修という極彩色の拝殿です。
斗?などの組物や、向拝の虹梁、金細工で装飾された隅木など、日光東照宮より派手かも知れません。

正面に掛かる扁額の文字は、有栖川宮一品親王殿下の筆によるものだそうです。
  拝殿

本殿
本殿本殿本殿は寛文元年(1661)建立だそうで、妻入りに建てた一間社の春日造の建物です。
屋根は銅板葺で、高欄を付した縁を正面と両サイドに巡らせている。

本殿は通常質素なイメージで建てられている事が多いが、この本殿は拝殿同様に組物や虹梁を極彩色に施している。

社殿付近の建物
祖霊社国常立神社本殿の右側には、開山以来の神社に縁のある祖霊を祀る祖霊社(写真左)が建ってます。
極彩色ではないですが、漆で塗られています。

更にその右手には国常立尊(くにたちとこのみこと)を祀る国常立神社が建ってます。




神楽殿と灯籠
灯籠灯籠神楽殿拝殿前の石段を下りると、神楽殿と極彩色の灯籠が立っています。

神楽殿は極彩色の拝殿とは異なり、白木作りで質素な感じです。どうも豪華絢爛な社殿を見てきたので、かえって落ち着く思いがします。

一方、灯籠は拝殿同様派手ですねぇ。最初は何の社かと思いました。
組物や彫物が凄いです。まるで芸術品のようです。

手水舎手水舎装飾狛犬彩色が施されているのはそれだけではありません。手水舎もかなり派手です。

切妻屋根の前後に唐破風を施し、柱・梁・破風板・懸魚等の主要部位を白く塗り、組物は真紅に。更に極彩色の彫物で装飾した様は、手水舎にこれだけ金を費やすのかと思わず叫んでしまいそう。

石段の下に置かれている狛犬は狼でした。 御眷属信仰のシンボルなんですね。

摂末社
伊勢神宮末社再び拝殿の前を通り、右の方へ行くと三峯神社と縁のある摂社・末社が一列に並んで建っています。

スケールモデルのような神明造の伊勢神宮をはじめ、同じデザインの小祀が並んでいる様は見事です。

ちょっと立派なのが東照宮と大山祇神社です。
一対の石燈籠が置かれ、東照宮は更に石段まで備わっています。

随身門
随身門裏側随身門上まで車で来たので、実際にこの門をくぐる事はありませんでした。
この門は神仏習合期の元禄4年(1691)に仁王門として建立された門を、寛政4年(1792)に再建したものだそうです。

昭和40年(1965)に改修工事が施され、現在も美しい状態が維持されています。

安置されていた仁王像は、神仏分離令により埼玉県鴻巣市にある浄土宗の寺院「勝願寺」へ移されたそうです。




 寶登山神社

長瀞駅から真直ぐ延びる参道を行くと、寶登山神社の境内に出ます。
歩いても15分程の距離です。

参道は桜並木になっていて、開花の時期にはお花見をしながらの参拝が楽しめます。

遥拝に訪れた日本武尊を山火事から救った大山祇神の神犬といわれる巨犬の霊力と、防火守護・盗難除けにご利益があるとされ、多くの参詣客が訪れます。

標高497mの宝登山山頂には奥宮が鎮座し、ロープウェイで上ることが出来ます。
境内にはかつて別当寺であった玉泉寺もあり、共に宝登山
を守っています。秩父三社の中では、神仏習合を色濃く残す一社であると思います。


寶登山神社
主祭神 : 神日本磐余彦尊 (かんやまといわれひこのみこと)
大山祇神 (おおやまづみのかみ)
火産霊人 (ほむすびのかみ)
創 建 : 景行天皇41年(111)
例大祭 : 4月3日
社格等 : 旧県社、別表神社
鎮座地 : 埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1828
0494-66-0084
公式サイト :  秩父長瀞 寶登山神社
寶登山神社朱印寶登山神社朱印

寶登山神社
  本殿
拝殿   社殿は拝殿・弊殿・本殿からなる権現造で、弘化4年(1847)に再建工事を着工し、明治7年(1874)に拝殿が完成したそうです。

特に拝殿の向拝部分は、柱や虹梁などが白に塗られ、極彩色の彫刻がに施されています。
三峯神社の手水舎を思わせる色使いです。

向拝の柱には5匹の龍が飾られ、正面には青龍・白龍など中国神話の四神が彫られています。
拝殿側面にも、中国儒教の教えにある二十四孝の彫刻が飾られています。

入母屋屋根の両端と千鳥破風に、千木と堅魚木が一つ載せられてますが、切妻の本殿屋根は何も施されていません。
拝殿彫刻
拝殿彫刻拝殿彫刻


参道から境内へ
参道鳥居国道140号の長瀞駅前交差点に面し大きな鳥居が立っています。車で来てもこの鳥居をくぐれば駐車場に行けます。

桜並木になった参道は、緩い勾配で寶登山神社に向って延びています。
突き当たりは広くなっていて、社務所や売店が建ち、その奥に二の鳥居が立っています。


石段二の鳥居をくぐると、社殿が建つ上の境内へ上がる石段があります。

手水舎付近に立って見ると、大木に覆われた石段の先に極彩色の拝殿が輝いているように見えます。
仮殿
社殿改修中は上に登れず、石段下での参拝でした。

みそぎの泉
みそぎ泉本殿背後の北西の角には、日本武尊が宝登山に参拝の際、みそぎをして身を清めたといわれる湧水「みそぎの泉」があります。

あくまでも伝説であり、単なる水たまりにしか見えないんですけど....。


境内社
社殿の周囲に6社の小祀があります。
左から藤谷淵神社・日本武尊社・天満天神社・宝玉稲荷神社
藤谷淵神社日本武尊社天満天神社宝玉稲荷神社




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